育児休業における雇用環境整備措置

育児休業における雇用環境整備措置 サステナブル経営
著者プロフィール
林 利恵
林 利恵
Rie HAYASHI, MPH, PhD

博士(医学)
特定社会保険労務士
ISO30414 リードコンサルタント/アセッサー

東豊社労士事務所 代表
株式会社東豊経営 代表取締役

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育児休業における雇用環境整備措置

令和4年4月1日施行の改正育児休業法において、雇用環境整備措置が義務付けられることになりました。また、同年10月1日施行改正法では出生時育児休業(産後パパ育休)が創設されました。

雇用環境整備措置について詳しくは後述しますが、次の6通りのレベル感があると思います。どこまで取り組むのが最適解なのか考えるのに役立つよう、情報を整理したいと思います。

  1. 【法令】法令遵守レベル
  2. 【法令+労使協定】労使協定により出生児育児休業の申出期限を2週間超にする場合
  3. 【助成金】両立支援等助成金(出生時両立支援コース)を受給する場合
  4. 【助成金+労使協定】上記3において、労使協定により出生児育児休業の申出期限を2週間超にする場合
  5. 【くるみん】くるみん認定(「子育てサポート企業」として厚生労働大臣による認定)を受ける場合
  6. 【くるみん+労使協定】上記5において、労使協定により出生児育児休業の申出期限を2週間超にする場合

雇用環境整備措置の種類

雇用環境整備措置は次の7通りに分けられます。

  1. 【研修】その雇用する労働者に対する育児休業に係る研修の実施(管理職以上必須)
  2. 【相談体制】育児休業に関する相談体制の整備
  3. 【事例提供】その雇用する労働者の育児休業の取得に関する事例の収集及びその雇用する労働者に対する当該事例の提供
  4. 【制度周知】その雇用する労働者に対する育児休業に関する制度及び育児休業の取得の促進に関する方針の周知
  5. 【業務体制】育児休業申出をした労働者の育児休業の取得が円滑に行われるようにするための業務の配分又は人員の配置に係る必要な措置
  6. 【方針周知】育児休業の取得に関する定量的な目標を設定し、育児休業の取得の促進に関する方針を周知すること
  7. 【意向確認】育児休業申出に係る当該労働者の意向を確認するための措置を講じた上で、その意向を把握するための取組を行うこと

レベル別 義務・努力義務の分類

雇用環境整備措置法令法令+労使協定助成金助成金+労使協定くるみんくるみん+労使協定
1. 研修1~4いずれか義務1~5のうち2つ以上義務1~4のうち2つ以上必須1~4のうち3つ以上必須法令を上回ること1~5のうち3つ以上必須
2. 相談体制同上同上同上同上同上同上
3. 事例提供同上同上同上同上同上同上
4. 制度周知同上同上同上同上同上同上
5. 業務体制努力義務必須必須同上同上
6. 方針周知定めなし義務定めなし義務定めなし義務
7. 意向確認義務義務義務義務義務義務

助成金申請やくるみん認定の添付書類

これらの雇用環境整備措置が行われているかを証明する添付書類を整理しました。

雇用環境整備措置添付書類
1. 研修研修の開催案内、研修の実施要領等
2. 相談体制相談窓口の設置に関する案内、周知資料等
3. 事例提供事例を掲載した書類等
4. 制度周知周知資料、メール送信・回覧の全労働者に送信・回覧(回覧の確認がある等)されたことが確認できるもの等
5. 業務体制労使で合意された育児休業取得者の業務を代替する労働者の業務見直しに係る規定等(就業規則・育児介護休業規程、社内報、イントラネットの掲示板等の画面を印刷したもの等)のを策定し、当該規定に基づき業務体制の整備をしていること
6. 方針周知事業主の方針を記載した配布物、社内報、イントラネットの掲示板等の画面を印刷したもの等
7. 意向確認個別周知・意向確認書など(厚生労働省参考様式

おすすめ雇用環境整備措置

私が顧問先様におすすめする雇用環境整備措置の組み合わせです。

両立支援等助成金やくるみん認定を見据え、次の措置の組み合わせが取り組みやすいと考えます。

講じるべき措置が増えますので、労使協定により出生児育児休業の申出期限を2週間超にする必要はないかと考えます。

雇用環境整備措置添付書類
1. 研修研修の開催案内、研修の実施要領等
2. 相談体制相談窓口の設置に関する案内、周知資料等
3. 事例提供事例を掲載した書類等
4. 制度周知周知資料、メール送信・回覧の全労働者に送信・回覧(回覧の確認がある等)されたことが確認できるもの等
5. 業務体制労使で合意された育児休業取得者の業務を代替する労働者の業務見直しに係る規定等(就業規則・育児介護休業規程、社内報、イントラネットの掲示板等の画面を印刷したもの等)のを策定し、当該規定に基づき業務体制の整備をしていること
6. 方針周知事業主の方針を記載した配布物、社内報、イントラネットの掲示板等の画面を印刷したもの等
7. 意向確認個別周知・意向確認書など(厚生労働省参考様式

むすび

今回は育児休業(出生児育児休業を含みます)における雇用環境整備措置について、法令から助成金申請、くるみん認定までに求められる内容を概要をまとめました。参考にしていただければ幸いです。

具体的な手続きや必要な書類については、厚生労働省サイトを確認しましょう。

当事務所では、労務顧問先様向けに、これらの取組を行うにあたり伴走型でご支援しております。どうぞお気軽にご相談ください。

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